ミャンマー
大昔、ミャンマーの一般邸宅に泊めていただいた事がある。クーデター前で、しかしスー・チー氏は既に軟禁されていて、という国際情勢だった。日本からの渡航は可能だったが、外国人が一般人の邸宅へ宿泊するのは本来禁止されていたらしい。どういうわけかオーケー(ではなかった可能性もあるが)という事で、同い年の子の家へ数日転がり込んだのである。
蜂の巣みたいに小さな一部屋が密集した雑居ビル、の一角のような場所だった。日本人がステレオタイプのまま絵に描いた東南アジアの姿だった。電気も水も通っていたがお湯という概念は存在せず、風呂はチョロチョロ出てくる水道を甕に溜めてはざばっと浴びてその隙に身体を擦る、というものだった。夏でもさすがにこれは寒かった。
立方体のテレビからはずっとミャンマー人歌手の歌番組が流れていた。言語も文化も分からないが演歌のようなメロディーだった。タイでも似たものを聴いた。ミャンマー語の字幕は丸っこい記号が横に続いていて、ポケモンのタイレーツみたいな可愛さがあった。