女の離婚

両親は離婚している。

現在は各々再婚しているので幸せそうで何よりなのだが、中学受験で第一志望の合格通知が出た12歳の誕生日に「ママとパパ、離婚するんだ」と聞かされた私は未だ離婚という行為の重たさについてしばしば考えてしまう。そんなものに囚われたくないというのが本音だが、小6の頃の私の怨念めいた何かをそんなものと呼んでいるうちは、繰り返しこうして考える時間を取り続けるのだろう。

というのも、夫から時たま引き合いに出されるのだ。「お前の家は色々あったから、」という構文で出されるその指摘は、大抵私が夫に対して冷たかったり、口論で優しくしなかったりしたことへの糾弾として使われる。ぶっ壊れ家庭出身者はこうしていつまでもぶっ壊れた部分について負い目を抱える事となる。私が一切を黙ったまま結婚していたら、父親とは血が繋がっていないのにしょっちゅう「お父さんと娘さん、よく似ていますね」と言われるのをにこにこ笑って肯定していたら(これは実際しているのだが)そういうご指摘は全く無くなっていただろうか。それとも形を変えて、現在の私と私の親の粗探しを始めるのだろうか。

この間姑と会った時、実は若い頃家庭内で酷いいじめに遭っていて、そのせいで鬱やフラッシュバックに苦しんだという話を聞いた。夫は甘やかされていたから被害は少なかっただろうが何が起きていたかはだいたい知っている、とも姑は言った。おいおい、と思った。次にやった口喧嘩で人のこと言えんのかと指摘し返したら、一応発言については謝罪されたがひどく不満そうにしていた。君は障害者という言葉を悪口として使う人みたいだね、と思った。ぶっ壊れ家庭なんてどこにでもあるが、いざそういう扱いを受けると途端に怒り出すのは流石に軽率だし、やり返される準備が足りていなさ過ぎるだろう。